お客様の声:税理士法人 本川綜合事務所
お客様の声
クラウド会計はこう使いこなす!
「シンプルで使いやすい」代替できぬe-PAPクラウド
出典:「月刊『税理』2025年4月臨時増刊号」
- 事務所プロフィール
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代表社員・税理士
本川國雄氏 本川原基氏 -
事務所名 税理士法人 本川綜合事務所
所在地 東京都北区上十条2丁目4-8
設立年 1986年(2010年に法人化)
職員数 税理士5名 総スタッフ23名
ホームページ http://mgo.or.jp/
<事務所の特色>
代表の本川國雄は、国税局で20年にわたり所得税等の税務調査を担当。
在職中に『医師の税務調査の手引』を執筆する。開業後は地域の企業に寄り添い、
経営相談から相続対策に至るまで幅広い支援を提供する。
医療法人の設立と経営、税務調査対応への経験を活かし、全国各地で講演活動も展開中。
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Ⅰ 現在、活用しているクラウド会計を導入したのはいつか
コロナ禍でスタッフにテレワークをさせる必要が生じたことを機に、約5年前に導入した。当初はクラウド会計ではなく、スタッフの自宅にあるパソコンから事務所のサーバにアクセスさせる形でのテレワークを試みた。しかし、個々のセキュリティ対策にどうしてもばらつきが出るため再検討し、事務所のパソコンをスタッフに持ち帰らせて業務をさせることとした。この新たな方針に最も合致したのが、エッサムの『e-PAPクラウド』だった。
Ⅱ 導入したクラウド会計を選んだ理由
当事務所では、コロナ禍よりも前からエッサムの財務会計システムや税務申告システムを使用しており、クラウド会計においてもその流れで同社を選んだ。他社を検討することなく選定した理由は、同社のシステムや体制に対する信頼感にある。
まず、エッサムの各種システムは、操作画面がシンプルで、早く正確に入力するための機能が充実している。当事務所では関与先のために他社製品を操作する機会もあるが、エッサムの製品の場合、例えば、勘定科目の呼び出し一つをとってみても必要なアクションが少ない。税理士事務所の視点に立ち、無駄な動作が徹底的に削ぎ落とされていると感じる。ゆえに「会計ソフトに慣れていない方にはどうだろうか」という不安も当初はあったが、自計化のために『e-PAP経理シリーズ』を導入した関与先からは「シンプルで使いやすい」との声があった。
また、サポート体制として電話対応があることも決め手の一つとなった。困った時のサポート窓口をチャットやメールに散らすインターネット上のサービスも多い中、電話をすれば専門のスタッフが丁寧に対応してくれる点は、会計システムの導入支援も行っている当事務所にとって大きな安心材料となる。こうした信頼と安心から、クラウド会計の導入においても迷わずエッサムを選んだ。
Ⅲ メリットはなにか
1、保守管理の効率化
オンプレミス型システムと異なり、クラウド会計では事務所側のサーバ管理が不要になるメリットが非常に大きい。それまで夜間や土日を使って定期的に行っていたバックアップ作業がすべて不要となり、それだけでかなりの手間を省くことができた。
また、バージョンアップなどプログラムのメンテナンスを事務所側で行う必要もなくなったため、事務所内のシステム担当者の負担も大きく減少している。従来は、何かあるとベンダーに連絡を入れて訪問してもらい、その間、担当者は業務の手を止めて対応しなければならなかったが、クラウド会計を導入してからはその時間を削減できるようになり、より多くの業務時間を確保できるようになった。
2、業務効率化
(1)リアルタイムで顧客の支援が可能に
自計化している関与先と会計データを共有できるため、関与先のさまざまな要望にリアルタイムで対応できるようになった。例えば、金融機関に提出する融資の申し込み書類を作成している関与先から、「ちょっと今、試算表をチェックしてもらいたい」といった急な要望があっても、従来のように「じゃあまずはデータをこちらに送ってもらって...」というやり取りを挟まずに数字を確認できるようになり、関与先に喜ばれている。
(2)外出先での時間を有効活用する
クラウド会計を導入する前は、事務所で作成したデータを外出先で確認することができないため、外出する前に紙に出力するなどの準備をしなければならなかった。現在はインターネット端末さえ持っていれば、クラウド上に保存された資料をどこにいてもすぐに確認できる。外出先でのさまざまな状況に臨機応変に対応できるため、外での時間を有効に活用できるようになった。
(3)自動仕訳でさらなる効率化も
『e-PAPクラウド』の場合、『e-PAPスマート・ストレージ』、『スマート・インプット通帳・レシートAI-OCR』、『スマート・インプット銀行・カードデータ取込』というオプション機能を併用することで、証憑書類の電子データや口座明細のデータ、クレジットカード利用明細のデータから自動仕訳を作成することが可能となる。こうした機能を活用することで、入力作業自体にかかる時間も削減することができている。
(4)入力業務の進行がスムーズに
クラウド会計を導入する前は、関与先から書類データをメールやUSBなどで回収しなければ入力作業に取り掛かることができなかった。現在は、クラウドストレージ上にデータを保存してもらえればそれを事務所と共有できるため、入力業務の進行がスムーズになった。
(5)スムーズな導入と変わらぬ使い勝手の良さ
クラウド会計の事務所への導入は、ベンダーのサポートもありスムーズに進めることができた。時間がかかると思われたデータのクラウド化も、金曜日の夜に開始して土曜日の昼には終了している。導入後の使用感は、基本的に元の製品(オンプレミス版)と変わらないため、違和感なく移行できている。また、テレワーク対応のための補助金を活用したことにより、費用負担も抑えることができた。
クラウド会計の導入において懸念される点として、他の事務所の同時使用時に影響を受ける問題があるが、当事務所は『e-PAPクラウドプレミアム』により、専用の仮想サーバでクラウドを使用している。通常のクラウドを集合マンションとするなら、専用仮想サーバは自社ビルにあたり、他の事務所の影響を受けない。実際に確定申告期などで処理速度が落ちたと感じたことはなく、むしろ、クラウド会計を導入する前より読み込みが速くなったという職員の声もある。こうした工夫により、変わらぬ使い勝手の良さを実現できている。
(6)多様な働き方への対応
当事務所では現在、原則的には出社させる方針に戻しているが、例えば、職員において家族の事情などで出社できない事情が生じた場合、テレワークに切り替えることも認めている。クラウド会計を導入していれば、自宅にパソコンを持ち帰らせるだけですぐにテレワークを始められる。職員が求める働き方に柔軟に対応できる手段を確保していることは、入力スタッフの採用や定着につながっている。
(7)業務リスクや災害への備え
ア 保存ミスや事故の防止
クラウドストレージにデータを保存できるようになったことで、パソコン内に直接保存する際に起こりがちな保存ミスを防げるようになった。また、関与先の経理のために持ち込むUSBが不要となったため、紛失事故の防止にもなっている。
イ 自然災害に備えた仕組み
自然災害時において事業を素早く復旧・継続できる仕組みは、企業において不可欠である。特に、日々膨大な入力作業をこなさなければならない税理士事務所の場合、1、2日のロスが事務所全体の停滞につながる。クラウド会計では、プログラムやシステムが事務所のサーバではなくクラウドにあるため、事務所において緊急事態が発生しても業務を復旧させやすいといえる。こうした緊急時の備えにもなるため、経営者として安心感がある。
Ⅳ 改善してほしい点はなにか
1、データの出力形式
関与先に関するデータを事務所の管理資料の作成などに流用しようとした時、一部のデータは出力形式がPDFのみとなっている場合がある。すべての資料をExcelでも出力できるようになると扱いやすくなるため、改善を望む点である。
2、他社の会計ソフトへの対応
他社の会計ソフトを使用している関与先のデータを取り込む際、一部の製品については、データを出力後、『e-PAPクラウド』の形式に合わせてから取り込む必要がある。こうした手間をなくし、さまざまな会計ソフトのデータをシームレスに取り込めるようになることで、さらなる利便性の向上が期待できる。
Ⅴ 関与先への導入はどのように行っているか
クラウド会計を希望する関与先に対し、積極的に導入支援を行っている。オンプレミス型の時とは異なり、事務所側で基本設定を行い、関与先にはソフトをインストールしてもらうだけで導入が完了するため、支援が格段にしやすくなった。
なお、『e-PAPクラウド』において、関与先がクラウド会計を利用する方法は二つある。一つは、税理士事務所が使用する『e-PAPクラウド財務会計システム』の一部を関与先が使用する『顧問先ライセンス』、もう1つは、自計化向けの『e-PAPクラウド経理シリーズ』の使用である。どちらも料金面で関与先にとって魅力的であり、喜ばれるポイントとなっている。特に後者の方法では、最も基本的な『Basic』プランが事務所側の契約に付属しているため、関与先に無料で提供することができる(注)。そのため、「ちょっと試してみようかな」という気持ちになってもらいやすく、結果的に、操作画面に慣れた関与先が、そのまま継続利用するケースも多い。
(注)提供可能な数には上限がある。
Ⅵ 新しい関与先で活用しているクラウド会計が事務所で活用しているものと違う場合はどうしているか
当事務所では、同じクラウド会計になるべく切り替えてもらう方針を採っている。他社のシステムに対応する範囲を広げると、職員がその都度新しい使い方に慣れる必要があり、業務効率が低下するためである。
それまで使ってきたツールを変更してもらう際に重要なポイントは、初めて使う会計システムに対する不安を払拭することにある。導入の流れや当事務所が提供できる支援体制を丁寧に伝え、「本当に使えるだろうか」という関与先の不安をなくす必要がある。そして導入初期には手取り足取りといえるほど細やかなフォローを行うことが重要である。
『e-PAPクラウド』の場合は幸いなことに、前述のとおり料金面に魅力があり、提案しやすい。また、エッサムは電話対応によるサポート体制も充実している。継続的な支援を行うにあたり、こうしたサポートを案内することで事務所の負担軽減に役立てることができる。
Ⅶ 今後の展望
税理士法の改正により、税理士は業務を通じて積極的にDX化を図ることが義務付けられた。これまでも税理士事務所として対応してきた部分ではあるが、現在では「税理士の責任で顧問先に指導するように」という政府の基本姿勢が明文化されている。関与先の中には年齢を重ねた経営者も多い。そうした方々も新しい税制やデジタル化に円滑に対応できるよう支援しなければならない。
その一方で、事務所では常に人手が不足している。そのため、事務所内においても業務の電子化・自動化を進めているものの、負担はなかなか減らない。インボイス制度への対応であったり、細かい業務で言えば、一定の法人に納付書が送付されなくなったため事務所で納付書を用意する必要が生じたりと新たな負担も生じている。
当事務所の強みは、税務調査の対応、M&A、開業医の医療法人化などにおいて、専門性の高い支援を提供できることにある。関与先はもちろん、単発の依頼にも対応しており、そうした業務を通じて顧問契約を増やしてきた。今後も事務所内の業務効率化を進め、付加価値の高いサービスに経営資源を投じたいという想いがある。
こうした展望を実現するため、これからも会計ソフトベンダーとともに事務所の課題を解決していきたいと考えている。ベンダーからの提案を軸に、税理士事務所と関与先の両方の業務効率化を進めていければ幸いである。