- 公開日:
- 情報
はじめに
令和6年度(2024年度)のふるさと納税受入額が1兆2,728億円に達し、5年連続で過去最高を更新した。寄附件数は約5,879万件、控除適用者数も約1,080万人と過去最多を記録。一方、制度を巡っては令和7年10月1日から仲介サイトのポイント付与が全面禁止となった。これまで寄附拡大の原動力となっていたポイント還元が廃止されることで、今後の寄附動向や自治体間の競争の行方が注目される。
総務省が公表した「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和7年度実施)」によると、令和6年度の全国のふるさと納税受入額は約1兆2,728億円となり、過去最高を記録した。寄附件数は約5,879万件、令和7年度課税分として控除を受ける適用者数は約1,080万人に上った。制度創設以来、寄附額・利用者数ともに増加傾向が続いているが、地域間の格差や制度運営コストの課題も顕在化している。
1.ふるさと納税受入額、5年連続で過去最高
(表1)全国のふるさと納税の受入額・受入件数の推移(令和元年~令和6年度)
(出典:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和7年度実施)」を参考に筆者が作成)
年度
受入額(億円)
受入件数(万件)
令和元年(2019)
4,875.4
2,333.6
令和2年(2020)
6,724.9
3,488.8
令和3年(2021)
8,302.4
4,447.3
令和4年(2022)
9,654.1
5,184.3
令和5年(2023)
11,175.0
5,894.6
令和6年(2024)
12,727.5
5,878.7
都道府県別の受入額では、北海道が約1,799億円で全国トップとなり、宮崎県(約582.8億円)、兵庫県(582.4億円)が続いた。上位には返礼品の人気が高い自治体が並び、地域特産品を活用したプロモーション戦略が寄附額を押し上げている。
(表2)都道府県別 ふるさと納税の受入額・受入件数(10位まで/令和6年度)
(出典:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和7年度実施)」を参考に筆者が作成)
順位
都道府県
受入額(億円)
受入件数(万件)
1
北海道
1,799.6
963.2
2
宮崎県
582.8
295.6
3
兵庫県
582.5
133.1
4
福岡県
560.0
337.9
5
静岡県
533.7
293.8
6
山梨県
458.8
200.8
7
山形県
449.4
211.2
8
新潟県
443.1
147.7
9
鹿児島県
430.5
226.7
10
大阪府
396.4
170.3
これを市区町村別にみると、兵庫県宝塚市が寄附受入額で1位となったが、これは市立病院に対して市民2人から約254億円の寄附があったことによる特例的な結果だ。実質的な上位は北海道白糠町(2位)、大阪府泉佐野市(3位)、宮崎県都城市(4位)など、ふるさと納税常連自治体が占めた。いずれも地域ブランドを活かした返礼品展開で全国からの寄附を集めている。
一方で寄附額が伸び悩む自治体も多く、自治体の広報力や返礼品調達力の差が寄附額の格差として顕著に表れている。
住民税控除の適用状況をみると、東京都が約200万1千人で最多となり、控除額は約2,160億円に達した。次いで神奈川県、大阪府、愛知県の順で多く、人口規模と所得水準の高さが寄附行動に直結していることが伺える。特に東京都の1人当たり平均控除額は約10万8千円と全国平均(約9万4千円)を上回っており、高所得層による大口寄附が全体の受入額を押し上げていることが伺える。
寄附の使途では、「子ども・子育て」分野が最も多く、受入額は1,796億円、受入件数は855万件に達した。「教育・人づくり」「地域・産業振興」などの分野も多くの自治体で選ばれており、少子化対策や地域経済の底上げを目的とする寄附が増えている。クラウドファンディング型ふるさと納税も拡大しており、令和6年度には451団体が実施、プロジェクト数は1,228件、受入総額は227億円に上った。特定の事業に資金を充てることを目的とした寄附が、従来の返礼品を目的とした寄附に代わる新たな選択肢として定着しつつある。
一方で、ふるさと納税にかかる費用負担は依然として大きい。令和6年度の返礼品費用は3,208億円、事務費等は1,676億円にのぼり、広報・決済関連費用を含めた総経費は5,901億円と受入額の約46%を占めた。寄附金の半数近くが事務経費として消化されている実態は、制度の効率性や透明性の観点から問題視されている。
制度面では、令和7年10月1日から「仲介サイトによるポイント付与」が全面的に禁止された。楽天やPayPayなど各プラットフォームで付与されていたポイントは、寄附者にとって大きな魅力となっていたが、総務省は「返礼品に相当する経済的利益に当たる」として規制を強化。ふるさと納税市場は大きな転換点を迎えることになる。禁止後は寄附額の伸びが一時的に鈍化する可能性もある。自治体にとっては、返礼品競争に依存しない寄附促進策や、地域課題に直結する寄附プログラムの企画力が問われる局面だ。クラウドファンディング型や体験型ふるさと納税など、地域の個性を発信する新たな取り組みが注目される。
2.仲介サイトによるポイント付与の全面禁止
令和6年度の過去最高更新は、制度の成熟と寄附者意識の高まりを示す一方で、税制改正や経済動向の影響を受けやすい脆弱さも併せ持つ。ポイント付与禁止を契機に、ふるさと納税が"返礼競争"から"地域共創"へと転換できるかが、次の焦点だ。総務省は、ふるさと納税の持続的発展には「制度趣旨に沿った地域活性化と公平性の確保が不可欠」としており、今後も返礼品競争の抑制や経費率の上限管理を徹底する構えを見せている。
都市と地方の税収再分配機能を担う重要な仕組みとして定着したふるさと納税だが、寄附の集中や費用負担の偏りをどう是正していくか今後の大きな課題と言えそうだ。
