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はじめに
国税庁は令和8年度から、現在運用している国税総合管理システム「KSK」から次世代システム「KSK2」に移行するが、これに合わせて申告書等の一部書面について改定を進めている。KSKでは、申告書類などをOCRで読み取っているが、KSK2ではAI-OCRを活用しデジタル化していくため、現状の申告書、申請書などの様式をAI-OCRの読み取りに適した様式に改定するとしている。国税庁では、ドラフト版を令和6年度から順次公開しており、令和7年中旬からは新様式の初回版を公開する。
1.AI-OCRによる書面の自動読み取りとデータ化を進める
国税庁は2026年(令和8年)9月から、国税庁の基幹システムである国税総合管理システム、いわゆる「KSK」から次世代型の「KSK2」へと全面移行する。KSKには、納税者の申告書や申請書などの情報を蓄積してきたが、基本的に紙ベースでの取り込みが多く、従来のOCRシステムではスムーズにいかないことも少なくなかった。そのため、読み取りが不十分な場合は人が再度入力することも多く、手間やKSK内でのデータ連携などで課題を抱えていた。
KSK2では、これらの課題を解決すべく、AI-OCRによる書面の自動読み取りとデータ化を進める。従来のOCRは、紙や画像データに含まれる文字をコンピュータで読み取り、テキストデータに変換してきた。このOCR機能にAI(人工知能)技術を利用して、機械学習による文字識字率の向上などを図る。国税庁のAI-OCRの説明によると、「フリーピッチ枠の文字認識」となっており、文字枠のない体裁に手書きした文字の認識を想定している。実際に公開されているドラフト版の申告書などでは、金額を記入する枠欄が無くなっている。また、二次元バーコードや様式IDなどが印字されており、読み取り精度が大幅に向上される。
そのため、国税庁ではAI-OCRに対応した申告様式の見直しを進めており、令和7年の中旬に初回の公開を実施し、その後も、現在稼働しているe-Taxの改修内容を反映して、順次、仕様公開を実施する予定としている。
現在、帳票レイアウト(ドラフト版)について情報提供を国税庁HPで行っており、2,300種類以上の申告書・申請書等の様式が公開されている。
▼国税庁が公開している新様式のドラフト版の一例

[出典:国税庁(e-Tax)ホームページ]
国税庁ではKSK2の導入に伴い、「納税者情報の横断的な一元管理」「調査官による外部アクセス」「e-Tax通知の電子化拡大と利便性向上」などを図る狙いがある。
なお、KSK2では、e-Taxで受領可能な通知の範囲が大幅に拡大され、納税者が事前に同意すれば原則すべての通知をe-Taxで受け取れるようになる。これにより、郵送の手間が省け、よりスムーズな手続きが可能となる。
納税者情報の横断的な一元管理
2.税務調査の高度化と納税者への影響
現在は法人部門や個人部門など縦割り行政となっており、部門を超えて蓄積された情報を見ることができない。これをKSK2では部門を超えた横の連携を可能にし、税務調査などに利用していく。
調査官による外部アクセス
現在は調査官が出先からKSKにアクセスできないが、KSK2へではこれを可能にし、調査の迅速化と精度向上を図る。
KSK2の導入は、国税当局にとっても、納税者にとっても大きな変化をもたらす。令和8年の本格稼働に向けて今後の情報公開に注目していきたい。
